FC2ブログ
トップページ | 全エントリー一覧 | RSS購読

正法眼蔵 説心説性 18

道元禅師の「説心説性」に関する注釈は続きます。

この問答に関連して洞山禅師が「貴方から質問を受けたことによって、自分は様々の煩わしさをすっかり捨ててしまって、すっかり枯れ切った境地に到達した」と言われた。この洞山禅師の言葉を聞いたところの仏道を学んでいる凡庸な人々が考えるには、精神を説き本質を説いている人間が誰かいて、それが言葉では表せない何らかの人格だという主張が行われ、それによってすっかり枯れきった境地に到達したのだと考えている。

僧密禅師の「それは言葉では表現できない誰か」という言葉は、面と向かってお互いが見合っているにもかかわらず相手が誰であるか本質がわからないという状態を意味するのであり、まったく事態に対して見解を持ちえない状態を意味するのであるから、意味を持たない死んだ言葉というふうに理解している。しかしながら必ずしもそのような理解が正しいとは言えない。この様な形で説心説性という事が、洞山禅師の問答の中ではどのように理解されているかという事について徹底して理解した人は恐らく稀であろう。

洞山禅師が「自分はすっかり枯れ切ってしまった、あらゆる煩わしい境地から脱け出した」と言われた場合、その境地は一つの部分、二つの部分と言うふうな部分的に煩わしい状態から抜け出したという状態とは異なるであろう。そのようなところから洞山禅師は自分は煩わしいものからすっかり抜け出して完全な自由になったと言われたのである。僧密禅師から問いかけられたまさにその瞬間において、洞山禅師の立っておられた境地が天地一杯のものでなかったと言う事を誰が主張し得るであろう。



           ―西嶋先生にある人が質問した

質問
医者は酒をちょっと飲むと、健康にいいと言っていますが・・・。
  
先生
私はアルコ-ルを体に入れると本当の自分でなくなる、という印象を持つんですよ。そこで、自分でなくなる時間を持つ事が自分にとって好ましくないと言う印象なんです。私も、もうそう長く生きるわけではないから残された数年の間を、酒を飲んで自分ではない時間を持つ事はもったいないと言うか惜しいと言うか、そういう感じがするんです。だから、そういう時間をなるべく減らしたい、ゼロにしたいというつもりで酒を飲まない。

質問
そうすると、人が酒を飲んで健康に良いと思ってやっている事態については・・・。

先生
私は非難の気持ちはないです。
     
質問
ただ心の底では、「アホな事やっているな」と言う感じはやっぱり・・・。

先生
いや、自分の時間は各人が自分の使いたいように使っていいんだから、そういう形で時間をつぶしても、それは各人の自由だと言う考え方ですね。ただ、本人が自分の問題として考えて「どうも時間がもったいない」と感じる人もいるということです。
  
質問
人もいる?

先生
うん。どんな考え方を持つかが、かなり大事になって来るわけです。そして酒を飲んで「これが人生の楽しみだ、この楽しみを味わうために昼間働いているんだ」と考えている人もこの世の中にはいる。今は非常に沢山の人がそういう考え方に賛成していると言う事が実情だと思います。

質問 
先生は時間が大切だと常にお話になっていますが、我々凡人はどうしても、やはりひと時をちょっと飲んでくつろぐ事になってしまいます。

先生
うん。だからそういうことが普通に行われているけどね、そういう事を選ぶか選ばないかと言う問題があると思います。

質問 
後は自分の判断で?

先生 
そう。そしてね、日本国内ではお酒を飲んで時間をつぶす事が決して非難の対象になっていません。私は外国人にも教えていますが、彼らは「日本人はちょっと酒を飲み過ぎるんじゃぁないか」と言う印象を持っているようです。「あんなに飲まなくてもいいんじゃないか」と言う印象を持っている人が多いようです。彼らも飲む事は飲むんだけれども、日本人のように真剣に飲まない。

質問
真剣にですか。

先生
真剣に。自分の体はどうなってもいいような形で決死隊みたいな形でお酒を飲んでいるけれども、そんな形で飲まなくてもいいんじゃないかと言う印象を持っている人が何人かいるようです。あんまり口には出して言いませんけど。だから、日本人のお酒の飲み方は実に真剣なんです。命がけなんです。

質問
そうでしょうか。

先生
私はそう思う。だから相当に酔って「もう一軒行こう、もう一軒行こう」なんて、街中で頑張っている人が沢山いますよ。

質問 
それは私も昔やりました。今はやりませんけれども。また雰囲気が変わると飲めるんですね。

先生
そう、だからアルコ-ルが入ると自分が自分ではなくなるんです。


ご訪問ありがとうございます。よかったらクリックお願いします。


関連記事
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント

フリーエリア

ご訪問ありがとうございます。 にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村

プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
夫と店を始めて43年。生活=仕事。毎日朝晩自宅で坐禅をし、愚道和夫老師が講義された道元禅師著「正法眼蔵」をブログで紹介しています。師事した愚道和夫老師より平成13年「授戒」平成20年「嗣書」を授かりました。    

最近の記事

リンク

最近のコメント

カテゴリ

FC2カウンタ-