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正法眼蔵 空華 26

至真禅師と霊訓禅師の問答について道元禅師の注釈は続きます。

空華(実在するかどうかわからない現象) というものをいま自分が見ていると言う考え方に立つならば、自分の眼にあるところのかげりというものが全てなくなるであろうし、また自分の眼は実在しないものをあるように見る可能性もあると言う事がわかっていると、諸々の眼のかげりというものが全てなくなると言えるであろう。

この様なところから、眼にかげりがあり自分の眼は不確かなのではないかと言う状態そのものがあらゆる機能の発現であるし、その様な限界を具えた眼を自分は持っていると言う状態というものがやはりあらゆる機能の発現であるし、この世の中には存在しないものが見えるという事もあり得ると言う捉え方が全機能の発現であるし、現に眼に見えるという現象そのものも全機能の発現である。

「実在するかどうかわからない現象がすべて消えてしまう」と言う表現は、沢山の眼が現れて来て、何でも明瞭にはっきりと見える事を意味するのであるし、体中が眼になってすべての実体が隈なくわかるという事でもある。一般的に言うならば、人間の眼があるところには、必ず実在するかどうかは断定する事の出来ない姿が見えるという事が実情としてあるのであり、その様な限界を持った眼で捉えられたところの現象(姿)というものがあるのである。

その様な限定された眼に映ったところの姿をというもの「空華」と言うのである。実在するかどうかわからないけれども、とりあえず我々の眼に見えている姿と呼ぶのである。そのような範囲の限定された眼に映った姿という事に関する理論というものは必ずはっきりさせておく必要がある。

※西嶋先生解説
ここで言っていることは、我々の眼というものは現に見える範囲の事しか見えないという点では、眼そのものが限界を持っている。ただ眼がそのような限界をもっているという事がわかって来ることが、この世の中の実体がはっきりわかることであるという事を言っているわけであります。



           ―西嶋先生にある人が質問した―

質問
先生が「人間はそんなに偉いものではない」とおっしゃった事が気にかかるのですが。

先生
人間というものを考えていく場合に、四通りの考え方をすべきだと思います。一番最初の考え方は人間、あるいは人間の命は途轍もなく尊いと言う考え方がある。二番目の考え方は人間は単に細胞の塊だと言う考え方がある。三番目の考え方はいざ現実の生活になってみると、手が二本、足が二本、目が二つある生き物がいて一所懸命働いている。

そうすると働いているという事は単に肉体として存在するだけではなくて非常に大きな意味を持っている。ただそれが正しく生きているか、正しく生きていないかと言う問題はある。一生懸命やっているけれども、どうも傍から見ると、何のために一生懸命やっているのかよくわからないと言う生き方もある。

四番目の考え方は大きな基準(法)に当てはめて本当に価値のある正しい生き方をしているか、動き方をしているかと言う事。人間にはこの四通りの見方があると思います。他のものでも何でも、仏教はそういう四通りの考えかたで解釈していくわけです。だから「値打ちがない」と言い切る事だけが正しくない。そうかと言って「人間は何をしようと途轍もなく偉いんだ」と言う事にもならない。そうすると「何をやるか」と言う事も問題になるだろうし、「どう言う事が正しいのか」と言う事も問題になって来る事だと思います。

質問
自己規制と言う様な事を、先生がいつかお話されましたがそれはできるのですか。
  
先生
ええ、そうしなければ自己管理は出来ない。これは仏教の主張ですよ。

質問
なる様にしかならん、と言う様な感じがしますけどね。

先生
いや坐禅をしなければ「なる様にしかならん」と言う事。なる様にしかならんという状態では困るから、坐禅をやって「なる様になる」と言う事です。


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幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。69歳。自営業。愚道和夫老師が講義された道元禅師著「正法眼蔵」をブログで毎日更新し自宅で朝晩毎日坐禅をしています。師事した愚道和夫老師より平成13年「授戒」幽村芳春 平成20年「嗣書」授かる。    

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坐禅をしているという事は、足を組み、手を組み、背骨を伸ばして釈尊と同じ格好をして釈尊と同じ心境になっているという事でしかない。坐禅を中心にして、釈尊の思想が時代が変わり場所が変わっても、その場所、その時代に適応するような形でずっと伝わってきている。

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