FC2ブログ
トップページ | 全エントリー一覧 | RSS購読

正法眼蔵 空華 15

釈尊の言葉について道元禅師の注釈は続きます。

悟り――つまり真実がはっきりと見えた状態の中においても、主観的なものの見方というものはあるのであって、真実がはっきり分かったという世界において存在するところの沢山の事物や様々の実体というものも、主観的な見方に飾り立てられた実在だという事ができる。

真実を得た境地においても主観的なとらわれた見方があると同時に、迷っている世界の中でも主観的なとらわれた見方というものはあって、その様な主観的にとらわれた見方に飾り立てられた形で迷いの世界の実態というものがある。悟っている場合でも迷ったいる場合でも主観的な見方に煩わされた状態というものは常にある。

とりあえずその実情を述べてみるならば、主観的な片寄りにとらわれた見方(かげりを持った眼)が、平常な状態で存在する時にはそれらによって見られる実在するかどうかはっきりしない現象も、そのまま静かな状態で我々の眼に映っているのである。その様な主観的なとらわれた見方が現れていない状態の場合には、我々の眼に見えている現象もありのままにそのまま見えているのであって、それが現象であるとか現象でないとかと言う問題も起きてこない。

法華経の主張する様に、我々の住んでいる世界のあらゆる事物はそれぞれの真実の姿を示していると言えるのであるけれども、その様な状態の中においては、主観的な見方もそれらの主観的な見方によって見られる現象もありのままに存在し真実の姿を示しているのである。その様な捉え方においては時間を横に長く繋がった線の様に考えて、過去・現在・未来と言う長く続いた時間があると考えるべきではないし、最初の時点、中頃の時点、最後の時点という時間の経過というものとも関係がない。



          ―西嶋先生にある人が質問した―

質問
欲望を断ち切ろうとすればするほど弊害が起こって来ると・・・。私は今度人前で、ちょっと発表しなくてはならないんですけれども、研究の場だったら私はあがらないんですが、人前で立って話すなんてのはとっても嫌いで、足がガタガタして震えてしまうんですよね。

出来れば私はかっこよく落ち着いて喋りたいわけです。だけど「あがっちゃうなあ、困っちゃうなあ」と言う気持ちが、今私の中に非常にあります。これを抑えたい、自分としては余裕のある様なポ-ズをとりたいと言う欲望――と言っていいですね、その欲望があるから私はきっと失敗するだろうと思うんです。

先生
そう言う事と関係がありますよ。

質問
だから教えてください。

先生
だからあがって喋ろうと思えばいいんです。「よし今日の発表は大いにあがった気持ちで、オドオドとした態度で喋りましょう」と言う風に肝を決めると一番気持ちが落ち着くと思う。むしろ落ち着いた様子をしたいと言う事の方が、気持ちを落ちつかせなくする原因になると、そう言う事があると思います。

質問
だけど実際に思ってる事を原稿なしで喋るんですから、思った事を十分に伝える事が出来ないんです、そりゃあがりたくないですよ。

先生
うん、うん、そう。そういう点では坐禅と言うのは非常に役に立つんですよ。つまり自律神経をバランスさせると言う事ですから、ものを喋る場合でも自律神経がバランスしておれば落ち着いて喋れるわけです。ところが交感神経の方が緊張していると話の方も緊張し過ぎてしまう訳です。それを落ち着けよう、落ち着けようとしても、なお緊張が高まってしまうと言う事が実情な訳ですからね。

その点では、普段から坐禅をして自律神経をバランスさせると言う状態を常に持つと言う事が、そういう場面でもあがらなくなる事の一つの方法だと思います。応急の措置としては「よし、今日はあがって喋ろう、大いにあがった様子で喋ろう、人からどう見られても構わないや」と言う形で喋った方が自然に喋れるのではないかと、こういう風に思います。


ご訪問ありがとうございます。よかったらクリックお願いします。


関連記事
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント

プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
ご訪問ありがとうございます。
夫と二人暮らし。68歳。自営業。愚道和夫老師が講義された道元禅師著「正法眼蔵」をブログで毎日更新し自宅で朝晩毎日坐禅をしています。師事した愚道和夫老師より平成13年「授戒」幽村芳春 平成20年「嗣書」    

最近の記事

リンク

最近のコメント

カテゴリ

フリーエリア

坐禅をしているという事は、足を組み、手を組み、背骨を伸ばして釈尊と同じ格好をして釈尊と同じ心境になっているという事でしかない。坐禅を中心にして、釈尊の思想が時代が変わり場所が変わっても、その場所、その時代に適応するような形でずっと伝わってきている。

FC2カウンタ-