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正法眼蔵 身心学道 6

「心」と言うものが特に独立してあるわけではない。眼の前に見ている山、河、大地、太陽、月、星などが現にそこにある、そこに見えると言う事が我々が心を持っていると言う事の唯一の証拠である。とりあえず心とは何かと考えてみるならば、山であり、河であり、大地であり、太陽であり、月であり、星である。


※西嶋先生解説
西洋哲学では心というものがあるという前提に立って問題を考えるわけでありますが、仏教の立場で心とか、外界の世界とかという事を詰めていきますと、心と外界の世界が別々にあるわけではない。二つのものがぶつかり合ったところに我々の人生があり、宇宙があるいう考え方であります。

だから独立して心があって、心が山を見る、河を見る、大地を見る、太陽を見る、月を見る、星を見るという事ではなくて、山がある、河がある、大地がある、太陽がある、月がある、星があるという事実が心というものがあるという事の唯一の証拠で、山とか河とか大地とか太陽とか月とか星とかとは独立に心というものを捉まえようとしても捉まえることはできない。これが仏教哲学の原則であります。

本文に戻ります。
この様に心というものと山、河、大地、太陽、月、星とかとが一体になったまさにその瞬間においては、どのような捉え方、どのような態度というものが具体的に現れてくるのであろうか。山、河とは別の言葉で言えば、山でありそこに流れる水である。山、河もさらにもっと具体的に捉える捉え方もあるし、大地という場合にも自分が立っている、自分がいま坐っているここだけが大地だと言うわけにはいかない。



              ―西嶋先生の話―
    --つづき

ですから、善人は本質的に考えてみると必ずしも善人ではない。自分で善人だと思っているだけの場合が非常に多いわけです。それど同時に、今度は「そんな善悪なんかどうでもいいんだ、やりたい放題で生きていくんだ」と言う人々は、案外気が小さくて人のことを気にすると言うところもあるわけです。ですから悪人が必ずしも悪人ではない。そしてそういう関係からしますと、この世の中にはいわゆる自分は善人だと思っている人と自分は悪人だと思っている人とが一緒に寄り集まって、くんずほぐれつの生活をしていると、これが我々の生きている社会の実情だという事が言えるわけです。

仏道ではどういう事を言われたのかといいますと、善人が考えていることは必ずしも正しいとは限らない、また悪人が考えていることも必ずしも正しくないとは限らない、その点ではそういう善悪という区別を乗り越えたところに本当の真実があって、そういう真実を基準にして生きないと人間は本当の生き方が出来ないという事を主張されたわけです。

ですからその点では、仏教思想とは世間一般に行われている考え方と立場が違う考え方だと、こういう事があるわけです。しかも釈尊はそういう考え方を述べられる際に「断見外道」と「常見外道」も自分のお考えの中に包み込んでしまった。そういう考え方で仏教思想というものを説かれた。ですから仏教思想の一番最初には、常見外道的な考え方がまず出てくるわけです。だれでも人はまず良心的に生きようとするわけです。だからその点では第一段階では常見だ。

ところが少し年頃がいってくると、この世の中とは決していいことばかりはないという事がよくわかってくる。そうするとい今度は常見を離れて断見の考え方が入っていくという場合が多いわけです。世間一般では大体この二つで止まってしまうわけ。だから、ある人は善人だと思い込んでいるし、ある人は悪人だと思い込んで、それぞれが「俺の方が正しい」と思いながらこの世の中を送っているというのが我々の社会の実情です。                               

                              つづく--


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幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。68歳。自営業。愚道和夫老師が講義された道元禅師著「正法眼蔵」をブログで毎日更新し自宅で朝晩毎日坐禅をしています。師事した愚道和夫老師より平成13年「授戒」幽村芳春 平成20年「嗣書」    

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坐禅をしているという事は、足を組み、手を組み、背骨を伸ばして釈尊と同じ格好をして釈尊と同じ心境になっているという事でしかない。坐禅を中心にして、釈尊の思想が時代が変わり場所が変わっても、その場所、その時代に適応するような形でずっと伝わってきている。

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