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正法眼蔵 行持(上) 57

雪峰山の義存禅師は真実を知りたいと言う気持ちを起こしてから修行の旅に出て、寺院や旅の途中において様々の布施を受け食事を頂いた過程というものは、極めて長い距離であり長い時間を費やしたところであるけれども、その間、場所を選ばずに昼となく夜となく坐禅をして決して怠る事がなかった。

雪峰義存禅師は「この我々の住んでいる宇宙は一切の事物を露呈して何ものも隠すところがない、そっくりそのまま宇宙が我々の目の前に現れている」という意味の「露堂堂」と言う言葉を残された。そして「露堂堂」という事を把握するに至るまで、坐禅を決して怠ることなく自分の生きている限り続けられた。それは坐禅と同時に生きて坐禅と同時に死んだと言う事である。

雪峰義存禅師はまだ真実を得ない以前、真実を求めて色々な師匠の間を渡り歩いた。九回にわたって洞山悟本禅師の教えを受けに山に登ったし、投子大同禅師のところへは三回にわたって教えを乞いに行った。これらの行いというものは、長い様々の時代の中でも非常に珍しい仏道修行であり坐禅のやり方であった。

仏道修行をしそれを保持するということの清さ、厳しさというものを人に勧めるに当たっては、今の時代の多くの人が雪峰義存禅師の高貴な行為をその例に挙げるけれども、雪峰義存禅師と言えども、ものの考え方については普通の人と同じ程度の事も幾らもあったであろうけれども、唯一つ非常に優れていたのは坐禅を続けてやまなかったという事である。今日でも仏道の真実を得たいと思う人は、雪峰義存禅師と同じ様に必ず坐禅をし仏道修行に励むべきである。



               ―西嶋先生の話―

仏教の中で使われる言葉に「凡夫」と言う言葉がある訳であります。「凡夫」とはどういう意味かと言うと、普通の人と言う意味です。この「凡夫」に対する言葉が「仏」と言う言葉であります。したがいまして今日はこの「凡夫」と言う言葉と「仏」と言う言葉とが中身がどう違うかと言う話をしてみたいと思います。

凡夫という言葉の上での意味は、普通の人と言う意味です。 ごく当たり前の人と言う事であります。仏というのは何かといいますと、たとえば臨済禅師などは「無位の真人」と言う言葉を使われておられるわけであります。無位の真人というのは、無位とは人間が決めた位ではない、天地自然の位と言う意味で、そう言う立場から見た本当の人間というのが仏と言う言葉の意味であります。

凡夫と仏とがどう違うかと言う問題でありますが、まず凡夫のほうについて申し上げてみますと、凡夫というのは二つの世界の中を行ったり来たりする人、と言う意味があると思います。二つの世界と言うのは何かと言うと、一つは、ものを考える世界。我々は朝起きるとものを考え始めて、ご飯を食べる時にも、仕事をする時にも、夜、家に帰ってからも、絶えず考えているという習慣がついているわけであります。

これは人間の一つの資格であるわけです。頭がいいという事と関係あるわけでありますから、考える事は決して悪い事でも何でもないわけでありますが、我々はえてして考え過ぎるという問題があるわけです。で、この考えすぎる世界から人間は抜け出す工夫を知っているわけです。

例えば我々がものを食べている時には、比較的ものを考えることから解放されて、舌でおいしい味を味わっていることがある。そういう感覚的にいろんな刺激を受けるという事が、頭の中でいろんなことを考えるという事から切り離されるという事の原因になっているわけであります。そうすると我々は一日のうちで、物を考えたり、感覚的な刺激を味わったりという二つの時間の間を行ったり来たりしている。こういう生き方をしている場合の人を普通の人――凡夫というわけであります。
 
                          つづく--


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幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」戒名は幽村芳春。
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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行持の巻に入りました。この言葉は「いまといふ道は、行持より先にあらず、行持現成するを、いまといふ」と示されているところから見ると、保持、持続という事の意味が、時間的継続と関係の薄いところは明らかであり、むしろ持とは宇宙秩序の保時、戒律の保持という意味が強いと解される。そこで行持とは梵行持戒、すなわち正常な行為と戒律の保持を省略した言葉と解される。

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