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正法眼蔵 行持(上) 55

唐の宣宗皇帝は、位についた甥の武宗皇帝に「頭の悪い叔父さん」と呼ばれ馬鹿にされていた。

武宗皇帝がある時、後の宣宗皇帝を呼び寄せて、お前はかつて13歳の時に皇帝の座席に上がって群臣に挨拶する真似をした。その事は甚だけしからんと言って、一打ちに打ち殺して宮殿の後方にある庭園の中に捨てておいた。ところが後の宣宗皇帝に汚物をかけたところ息を吹き返した。

後の宣宗皇帝は、この様な迫害を受けたので父親の国を離れてこっそりと香厳禅師の教団に参加して、頭を剃って僧侶になる前の段階の沙弥と言う身分になった。しかし未だ具足戒(僧侶としての完全な戒律)を受けるまでには至っていなかった。ある時、後の宣宗皇帝は志閑禅師を道ずれとして旅に出かけて盧山に着いた。

そこで志閑禅師が滝を題材にして詩をつくった。
この滝を見ていると、崖に大きな穴をあけたり、石を貫き通すような勢いで滔滔と流れている。しかもその滔滔と流れている姿は決して滝として水を流していることに疲れたという様子は見えない。滝は遠くからこれを眺めてみても、水が非常に高いところから流れて来ているという事が滝を見ただけでわかる。

――この詩を作って、沙弥(僧侶見習い)がどういう人物であるのかを知ろうとしたのである。――

そこでその沙弥(僧侶見習い)はこの詩句の後を継いで言う。
谷は人里離れた場所で、人間が住むには適したところであるけれども、川の流れがいつまでも山の谷にとどまっていることができない。それと同じように自分自身もいつまでも寺院にとどまっているわけにはいかない。最終的には大きな海にも例えられるような俗世間に出て行って社会に大きな影響を与えることもあり得るであろう。

――志閑禅師はこの詩を見て、この沙弥(後の宣宗皇帝)は常人ではないと言う事を知った。――

後の宣宗皇帝は、その後杭州にある塩官斉安禅師の教団に行って書記の役目を務めたが、その時たまたま黄檗禅師が塩官禅師の教団において衆僧の筆頭の役目についていた。二人は坐禅の席が隣り合わせであった。



               ―西嶋先生の話―
    --つづき

3・自戒
戒律を守るという事。仏教では戒律を定めて仏教徒になる時に受戒と言う儀式があるわけです。仏教の教えが説き始められた頃に、仏教徒の具体的な生活の中でこれはやるべきではないと言う色々な規則ができたわけであります。しかしそれがあまりにも数が多くなって、あまりにも複雑になってしまったという事情があった訳であります。釈尊が亡くなられてから4、500年経った時に生まれて来た大乗仏教の立場では沢山の戒律を16の戒律につめた。こう言う16の戒律を守ると言う事が仏道修行においてかなり大切な事だと言うところから、三番目の波羅蜜として「自戒」と言うものが生まれて来たわけであります。

4・精進 
努力するということ。我々の日常生活はほっとけば何とかうまく行くだろうという事で、努力しないでいるとおかしくなっていく。我々の日常生活はどうしても努力がいる。朝起きる時でも起きようと思っても起きなければ、いつまで経っても寝ている事になる。何とかして起きようと思って努力をするから起き上がれる。ご飯を食べるにしても、自分が口をあけてジ-ッとしていたら、誰かがご飯を箸で挟んで口に入れてくれるかと言うとそんな訳にはいかない。各人がやっぱり箸を持って茶碗を持ってご飯を食べなければ、ご飯さえ食べられない。

まして、勤めに出かけるについては、自分で身支度をして足を一歩一歩前に出さなければ会社に近づかない。そういう点では我々の日常生活は努力なしでは成り立たない。仏道修行は努力がいると言う事が「精進」と言う波羅蜜が設けられた背景の事情であります。そういう点では信仰が大事だから、信仰さえあるならば全部ケリがつくという訳のものではない。信仰も大事だけれども、その信仰に基づいて努力をしなければ、仏道修行が進まないと言う問題がある訳であります。


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プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」戒名は幽村芳春。
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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坐禅をしているという事は、足を組み、手を組み、背骨を伸ばして釈尊と同じ格好をして釈尊と同じ心境になっているという事でしかない。坐禅を中心にして、釈尊の思想が時代が変わり場所が変わっても、その場所、その時代に適応するような形でずっと伝わってきている。

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