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正法眼蔵 行持(上) 50

南嶽懐譲禅師は大鑑慧能禅師の弟子となって侍者としての生活が15年に及んだ。

大鑑慧能禅師の持っておられた真実を受け継ぎ日常生活の生き方を受け継いだ様子は、ちょうど一つの器の水を別の器に移し変える様に、大鑑慧能禅師の持っておられたものはすべて南嶽懐譲禅師の体に入り、心に入ると言う状態で真実の伝承というものが行われた。

この様な過去の先輩方が実際に行われていた様子と言うものは、極めて慕わしいところである。簡単に15年というけれども、その15年間における様々の日常生活の苦労というものが、南嶽懐譲禅師を苦しめたという事も決して少なくなかったであろう。しかしながら、もっぱら真実を得るために一所懸命努力したと言う、この様な生活のあり方というものは遅れて仏道を勉強しようとしている我々の手本とすべきところである。

寒い季節に暖炉に焚く炭がなく、たった一人で人気のない建物に寝起きしていたと言う事もあったであろうし、秋の夜にはともし火がなく一人窓辺で坐禅をする事もあったであろう。この様な生活というものは、仮にその人にほんの僅かの知識もなく、ほんの僅かばかりの理解もつかないと言う状態であったとしても、極めて自然な状態で学問の一切を超越してしまったものという事ができる。この様な生き方こそ、仏教の主張するところの行持(清い行い、戒律の保持)であろう。

一般的に言えることは、名誉とか利得を貪ると言う事をこっそりと振り捨てしまったならば一日一日の自分の行いが、常に仏道の究極を得るための基礎として毎日毎日積み重なって行くという事だけである。この様な基本的な考え方というものを忘れるべきではない

南嶽懐譲禅師は「何か言葉で説明しようとすると、どうもぴったりきません」と言う言葉を残された。これは釈尊の教えに従って一所懸命日常生活を送り戒律を守ったというところから得られた結果である。このような事態というものは、昔から今に至るまで稀れとするところであり、賢い人もそうでない人も共に乞い願うところの行いであり、戒律の保持である。



          ―西嶋先生にある人が質問した―

質問
明日、明後日、将来のために貯蓄するという事は、仏道的に考えてどう言うものであるのですか。

先生
貯金と言うのは将来のためにするんじゃなくて、今のためにするんですよ。つまり今、使わなくてもいい金があるからとっておくと言う事で、これは今の行為ですよ。先々役に立てようと思うだけで貯金はあるのではなくて、今、金をどういう形で運営するかと言う一つの形でしかないわけです。

だから貯金なんてものは、もし将来の事を考えて貯蓄すると言う事であれば、将来に対する対策としては、必ずしも優れているかどうかはわからないわけです。貨幣価値の下落と言うのは必ずあるわけだから、ただムダ金をブラブラさせておくよりはどう扱っておいたらいいかと言う今の問題と言う風な捉え方があると思います。

質問
普段、自分の意思決定であるとか判断でどうしていると言う事も、自分の力でやっていると言うのはおこがましい事であって、これも法のままに動いているのですか。 
     
先生
仏教と言うのは「自他不二」と言う原則ですから、自分で一所懸命やっているけれども、周りからやらされていると言う事情もある。また周りの影響で日常生活を動かされているんだけれども、やっぱり自分が一所懸命やっているんだと言う両方の要素を含んでいるという考え方です。だから周りだけではないんですよ。自分自身も一所懸命にやらないとご飯さえ食べられない。周りがやってくれるんだからというんで、ご飯をたべないでジ-ッとしてたら飢え死にしてしまう事になる。

質問
その一所懸命やると言う事も、一所懸命やらせられてるというふうな実感があります。

先生
両方の事情があるわけです。だから自分もやらなくてはならないし、周囲も自分を大いに助けてくれてるしと言う両方の事情があると思います。


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プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」戒名は幽村芳春。
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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坐禅をしているという事は、足を組み、手を組み、背骨を伸ばして釈尊と同じ格好をして釈尊と同じ心境になっているという事でしかない。坐禅を中心にして、釈尊の思想が時代が変わり場所が変わっても、その場所、その時代に適応するような形でずっと伝わってきている。

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