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正法眼蔵 仏性 31

六祖大鑑慧能禅師の言葉について道元禅師の注釈は続きます。

聖者と言えども、一日一日と年をとっていくという点では変わりがない。凡人と言えども、一日一日と年をとっていくという事については変わりがない。聖者であれ、凡人であれ、具体的な生身の人間として生きている場合が無常(変転常ないもの)仏性である。抽象的に「聖者だ、凡人だ」と頭の中の区別だけで考えたところには仏性というものはない。もし仮に抽象的に仏性は永遠の不動のものと考えるならば、狭い考え方に基ずいた非常に視野の狭い愚かな見方であろう。

仏性とは、五尺か六尺のちっぽけな体で一生懸命に日常生活を生きていく日常生活の動作そのものである。このようなところから大鑑慧能禅師は「変転常ないものが仏性である」と言われたのである。恒常的なものは、変化して日常生活の中で動いていくという性質のものにはなり得ない。

変化しないと言う事は、ある場合には主体(断ち切るもの)として、ある場合には客体(断ち切られるもの)として、頭の中では様々に考えられるけれども、主体と客体とのどちらかとして考えられる場合には、我々の日常生活において具体的な変化として次々に変わっていく具体的な生活とは異なっている。すなわちこの現実の世界で生起消滅する我々の具体的な日常生活は、主体と、客体とどちらかに分かれた姿のものではないから、頭の中で考えて二つに分かれたあり方を常(恒常)、つまり固定的というのである。

そういう点では、主体とか客体とかという、二つのもののどちらかという捉え方でなしに、主体と客体とが全く一つに重なった現実の世界における草や木、寺院などは、常に変わっていく存在でありそれがまさに仏性である。人、物、体、心というものはどれをとってみても常に変わっていく存在であり、それがまさに仏性であり、仏性と呼ばれるものである。我々の住んでいる土地も山も川も一切が変化し流動している。その変化し流動しているものが仏性と呼ばれるものである。



              ―西嶋先生の話―
                            --つづき

それから二番目の考え方、心の問題ではなしに、もっと客観的な事実として仏性が出てくると言うことがどういう事かと言うと、文字通り健康であるという事。普通宗教を考える場合に、体の問題とは別だと言う考え方が非常に強い。宗教は心の問題だから、体などはあまり問題にしない事が本当の宗教だと言う考え方があるけれども、仏教はそういう事を言わない。人間は健康である義務がある、と言うふうな考え方をする。

だから、仏性が出て来ているか、出て来ていないかと言う事は、自分が健康であるかどうかと言う事と非常に関係がある。もちろん体だけを気にして、クヨクヨ、クヨクヨ心配し「あの薬がいい」「あの養生法がいい」と言う様なことで騒ぐ必要はないけれども、健康であると言う事は人間の義務、仏教の立場から見ると、人間の義務と言う事。だから自分が健康であるかどうかと言う事と、仏性が自分に現れているかどうかと言う事と、大いに関係あると考えざるを得ない。

それから三番目の立場、行動の立場でどういう風に仏性を考えていくかと言うと、やりたいと思う事がすぐできると言う事。あるいはやりたくないと思う事をジッとやらずに我慢できるという事。つまり、実践的で実行力があるという事が、仏性が出てきているかどうかと言う事のけじめの分かれるところ、とこう言う事になろうかと思います。

それでは四番目の立場はどうかという事になりますと、これは仏性そのものと一体になると言う事。だからその事は、坐禅をやっている時の状態というものを考えればいい。   
                 
                            つづく--


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幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」戒名は幽村芳春。
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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行持の巻に入りました。この言葉は「いまといふ道は、行持より先にあらず、行持現成するを、いまといふ」と示されているところから見ると、保持、持続という事の意味が、時間的継続と関係の薄いところは明らかであり、むしろ持とは宇宙秩序の保時、戒律の保持という意味が強いと解される。そこで行持とは梵行持戒、すなわち正常な行為と戒律の保持を省略した言葉と解される。

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