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正法眼蔵 看経 18

薬山唯儼禅師と僧侶との問答について道元禅師の注釈は続きます。

このように考えてくると、眼と経典とが完全に一つになった状態でないならば、眼の鋭さを和らげて本当の意味でものが見える様になり、教典を読める様になると言う効果というものは出にくいものである。眼の鋭さを少し減らして、本当のものが見えるようになるという事は、眼と経典とが完全に一つになった時に他ならない。

それからまた薬山禅師が、「たとへ経典が牛の皮で出来ていても、お前さんの鋭い目で読むならば、その牛の皮も穴があいてしまうであろう」と言われた言葉の意味は、経典というものが単に紙の上に書かれたものではなくて、現実そのものである。たとえば、牛そのものであり、牛の皮そのものである。別の言葉で言えば、皮によって包まれたところの具体的な牛そのものである。経典は単に抽象的な論議だけの問題ではなしに、経典そのものが現実そのものを示めしていると言う事も実際にあり得る。その事は具体的な牛というものを取り上げて、それを抽象的に皮とか、肉とか、骨とかという形で論議することでもある。

その点では、我々の日常生活において、周囲に存在するところの皮、肉、髄、頭、角、鼻の孔という具体的な牛の生き生きとしたあり方というものをとらえることである。この僧侶の立場からするならば、薬山唯儼禅師の立場を学ぶ事によって、牛というのは客観的なもの、眼というのはその牛を見るところの主観的なもの、牛という客観的なものと目という主観的なものとが一緒になった状態を目を曇らせるというのであり、そのことは別の言葉で言えば、主観的な目の玉というものと牛という客観的なものとが全く一つになることである。



               ―西嶋先生の話―
 
今後仏教が理解されていくためには、どういう方向が考えられるかという事を検討してみます
  
西洋流の考え方には非常にすぐれた特徴がある。従来の頭だけの考え方から、さらに進んできている。その進んできた考え方と言うのは、何かと言いますと弁証法と言う考え方です。弁証法とは、二人の人がお互いに議論をしあって、その議論の中から生まれる考え方が、大雑把に言えば弁証法と言う考え方の一つの特徴であります。つまり、Aの人とBの人とがお互いに主張しあって、Aの主張でもないBの主張でもない、新たな考え方というものがAとBとの論争の中から生まれてくる。そういう考え方が西洋流の考え方の中にも昔からあった。

それが、十九世紀ごろから非常に発達してきたと言う問題がある訳であります。そういう弁証法的な考え方を使っていくと、今度は逆に仏経の考え方が非常に理解しやすくなる。今後、西洋流の考え方のうちの弁証法と言う考え方を使って仏教を説明していきますと、非常にわかり易い思想として仏教がもう一度生まれ変わって出てくる、こういう事情があると思います。その場合に西洋流の考え方で説き尽くし得る思想というものは、かなり厳密な、かなり正確なものでなければならないと言う問題があります。

過去における仏教の様々な理論を探っていきますといくつもありません。私のみたところではたった一つしかない。それは、道元禅師の書かれた「正法眼蔵」です。この「正法眼蔵」の中には、現在西洋哲学の最先端にあると考えられている弁証法的な考え方が非常に明確に書かれています。そういう考え方を通して仏教が非常に理論的に書かれている。そういう事情があると思います。

だから今後、我々が「正法眼蔵」と言う本を勉強して仏教を理論的に理解していく事によって、仏教思想が西洋流の考え方を使ってもとける考え方だと言う事が、現実の問題として出てくると考える事が出来るわけです。そのように仏教が説明されていきますと、今までよりも仏教思想がはるかにわかりやすい思想として、我々の前に出てくるということが期待できるわけです。


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幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」を受け、
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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坐禅とは姿勢を正してきちんと坐ることである。 姿勢反射が働いて、交感神経と副交感神経とが同じになり、 考え過ぎからくる不満がなくなり、感じ過ぎからくる不安が消える。 実行力が生まれ、やりたいと思う事が直ぐできるようになり、 やりたくないと思う事はやめることが出来るようになる。 自分自身と宇宙とが一体となり最も幸福な人生を送ることが出来る。

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