正法眼蔵 法華転法華 1
「法華転法華」の巻、本文に入る前に西嶋先生の話です。
表題の「法華転法華」と言う意味でありますが、法華が法華を転ずるということで有名な経典に「妙法蓮華経」と言う経典があることは皆さんご承知の通り。「妙法蓮華経」というのは、経典の中でも非常に内容の優れた教えということで、道元禅師なども「正法眼蔵」の中で、経典の中の王だと言われているほどの経典であります。妙法と言うのはどういう意味かといいますと、妙というのは素晴らしいという意味、それから法というのはこの我々が住んでいる宇宙。我々の住んでいるこの素晴らしい宇宙と言うものが、ちょうど蓮の花のように美しく、また素晴らしい存在であるということを述べた経典が「妙法蓮華経」と言う経典というふうに理解できるわけです。
インドという国は非常に暑い国でありますから、水が非常に貴重でもあるし、また人の住む環境として水は貴重であったわけで、その水の中に咲いておる蓮の花が非常に美しいという点でも尊重されたところから、そういう蓮の花に譬えることの出来る様なこの我々の住んでいる世界というものを説いた経典が「妙法蓮華経」という経典になるわけであります。したがって法華転法華というのは、その我々の住んでいる素晴らしい宇宙というものが、宇宙それ自体を回転させておるという意味であって、そのことはどういうことかというと、我々の住んでいる世界というものは、誰が動かしているかは知らないけれども、とにかくそれが時々刻々と変化し、回転しておる。しかもその時々刻々と変化しておる世界というものが実に素晴らしいというのが法華転法華ということの意味であります。
また法華転法華ということの法華というのには「法華経」という意味がある、つまり「妙法蓮華経」という意味である。だから「妙法蓮華経」が「妙法蓮華経」を読むということ。転というのは転読という言葉があって経典を読むという意味もある。それはどういう意味かというと、単に文字で書かれた抽象的な経典という理解の仕方ではなしに、もっと実質的なこの現実そのものを説いておる経典として、「妙法蓮華経」という経典が持っておる本当の意味を知るということでもあるわけであります。そういう意味でこの「法華転法華」という巻は、「妙法蓮華経」が持っておる意味、その経典が説いておる我々が住んでいるこの素晴らしい宇宙というものの意味、そういうことが内容の中心になっておる。
この巻も非常に難しい巻。しかし、非常に難しい巻ではあるけれども、「妙法蓮華経」という経典に説かれた教えをどういう風に理解していったらいいかということが書かれておる巻であって、その点では「妙法蓮華経」という経典を通して、仏教という思想を理解するにはどうしたらいいかという基本的な問題が書かれておる。その点では非常に意味の深い巻だということも言えるわけであります。
―西嶋先生にある人が質問した―
質問
ここに不幸な人がおりまして、それを慰めてあげる場合はどういうことで・・・。
先生
いま不幸であったとしても、その不幸はいつまでも続かない。それはどういう事かというと、我々の生きている世界は瞬間の世界だから。「あなたは今、自分の方向をどっちにでも向けることが出来ますよ。幸福のな方にも向けることが出来ますよ。不幸な方に向けることも出来ますよ。あなた次第ですよ。それで今の不幸というものが永遠に続くもんだというふうに思い込む必要はありませんよ。諸行無常で我々の人生というのはいつでもクルクル、クルクル変わってるんだから、辛抱していればすぐ変わりますよ」ということが真実だということにならざるを得ない。
質問
そういいたいところですけど、見込みのないのもおりますね。
先生
ええ、それはもう自分でその不幸にしがみついてるから。自分で不幸から抜け出すのが嫌なんですよ。そういう人はいくらもいますよ。あの地下鉄の地下道なんかへ行くと新聞を広げて、瓶に水だか酒だかを入れたのをそばにおいて悠然としているのはいくらもいますよ。競馬場、競輪場に行ったっていくらもいますよ。「わ-来た、来た、来た」なんて言って「チェ、また駄目だった」なんて券を破り捨てて「よし一杯飲むんだ」ってなことでコップ酒飲んじゃ、また券を買っているなんて人がいくらもいますよ。
質問
ま、その程度ならいいんですけど、本当にかわいそうな人がいる。
先生
それはいます。世の中の不幸というのは無限ですよね。
質問
それをどう慰めてやったらいいか、救ってやったらいいか・・・。
先生
慰めはないね。自分で立ち上がるしかないんです。はたから「気の毒だ、気の毒だ」って言われたところで、幸福にはなりませんよ。だからそういう場合には、やっぱり本人が「よし、これじゃいかん」と思って立ち直らなきゃ、やっぱりいいとこへ行かんですわな。
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表題の「法華転法華」と言う意味でありますが、法華が法華を転ずるということで有名な経典に「妙法蓮華経」と言う経典があることは皆さんご承知の通り。「妙法蓮華経」というのは、経典の中でも非常に内容の優れた教えということで、道元禅師なども「正法眼蔵」の中で、経典の中の王だと言われているほどの経典であります。妙法と言うのはどういう意味かといいますと、妙というのは素晴らしいという意味、それから法というのはこの我々が住んでいる宇宙。我々の住んでいるこの素晴らしい宇宙と言うものが、ちょうど蓮の花のように美しく、また素晴らしい存在であるということを述べた経典が「妙法蓮華経」と言う経典というふうに理解できるわけです。
インドという国は非常に暑い国でありますから、水が非常に貴重でもあるし、また人の住む環境として水は貴重であったわけで、その水の中に咲いておる蓮の花が非常に美しいという点でも尊重されたところから、そういう蓮の花に譬えることの出来る様なこの我々の住んでいる世界というものを説いた経典が「妙法蓮華経」という経典になるわけであります。したがって法華転法華というのは、その我々の住んでいる素晴らしい宇宙というものが、宇宙それ自体を回転させておるという意味であって、そのことはどういうことかというと、我々の住んでいる世界というものは、誰が動かしているかは知らないけれども、とにかくそれが時々刻々と変化し、回転しておる。しかもその時々刻々と変化しておる世界というものが実に素晴らしいというのが法華転法華ということの意味であります。
また法華転法華ということの法華というのには「法華経」という意味がある、つまり「妙法蓮華経」という意味である。だから「妙法蓮華経」が「妙法蓮華経」を読むということ。転というのは転読という言葉があって経典を読むという意味もある。それはどういう意味かというと、単に文字で書かれた抽象的な経典という理解の仕方ではなしに、もっと実質的なこの現実そのものを説いておる経典として、「妙法蓮華経」という経典が持っておる本当の意味を知るということでもあるわけであります。そういう意味でこの「法華転法華」という巻は、「妙法蓮華経」が持っておる意味、その経典が説いておる我々が住んでいるこの素晴らしい宇宙というものの意味、そういうことが内容の中心になっておる。
この巻も非常に難しい巻。しかし、非常に難しい巻ではあるけれども、「妙法蓮華経」という経典に説かれた教えをどういう風に理解していったらいいかということが書かれておる巻であって、その点では「妙法蓮華経」という経典を通して、仏教という思想を理解するにはどうしたらいいかという基本的な問題が書かれておる。その点では非常に意味の深い巻だということも言えるわけであります。
―西嶋先生にある人が質問した―
質問
ここに不幸な人がおりまして、それを慰めてあげる場合はどういうことで・・・。
先生
いま不幸であったとしても、その不幸はいつまでも続かない。それはどういう事かというと、我々の生きている世界は瞬間の世界だから。「あなたは今、自分の方向をどっちにでも向けることが出来ますよ。幸福のな方にも向けることが出来ますよ。不幸な方に向けることも出来ますよ。あなた次第ですよ。それで今の不幸というものが永遠に続くもんだというふうに思い込む必要はありませんよ。諸行無常で我々の人生というのはいつでもクルクル、クルクル変わってるんだから、辛抱していればすぐ変わりますよ」ということが真実だということにならざるを得ない。
質問
そういいたいところですけど、見込みのないのもおりますね。
先生
ええ、それはもう自分でその不幸にしがみついてるから。自分で不幸から抜け出すのが嫌なんですよ。そういう人はいくらもいますよ。あの地下鉄の地下道なんかへ行くと新聞を広げて、瓶に水だか酒だかを入れたのをそばにおいて悠然としているのはいくらもいますよ。競馬場、競輪場に行ったっていくらもいますよ。「わ-来た、来た、来た」なんて言って「チェ、また駄目だった」なんて券を破り捨てて「よし一杯飲むんだ」ってなことでコップ酒飲んじゃ、また券を買っているなんて人がいくらもいますよ。
質問
ま、その程度ならいいんですけど、本当にかわいそうな人がいる。
先生
それはいます。世の中の不幸というのは無限ですよね。
質問
それをどう慰めてやったらいいか、救ってやったらいいか・・・。
先生
慰めはないね。自分で立ち上がるしかないんです。はたから「気の毒だ、気の毒だ」って言われたところで、幸福にはなりませんよ。だからそういう場合には、やっぱり本人が「よし、これじゃいかん」と思って立ち直らなきゃ、やっぱりいいとこへ行かんですわな。
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