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正法眼蔵 山水経 14

仏教哲学の中で説かれている「一水四見」について道元禅師の解説は続きます。

水はたった一つのものであるけれども、それを見るものが沢山あるために色々な見方が出来ると理解したらいいのであろうか。様々な実態の区別はあるが、それを頭の中で考えると、水はたった一つのものであると誤って判断していると理解したらいいのであろうか。いろいろと考えた上にもさらにまた考えてみるという事をすべきである。この様に単に水一つをとって見ても、それが様々に見えるとするならば、修行も体験も真実の探求も一種類や二種類に尽きるものではなく、究極の境地と言えども千差万別のはずである。

様々に捉えることが出来るという考え方をさらに発展させていくと、色々な種類の水があるけれども、本来これが水、あれが水と断定が出来ないのではなかろうかと感ぜられるほどである。色々な種類の水があると今述べてきたけれども、そういう色々な種類の水がはたして実在するのかどうかということさえ疑わしくなってくる。

しかしながら、また立場を変えて考えて見ると、その見るものによって様々に変化する水と言うものは、見るものの心によって水が存在するということではない。それでは物質的なもとして実在するのかと言うと、必ずしもそうも言い切れない。人間の行いが基礎になって、そこで初めて水がこの現実の世界に出現するのかと言うと、そうとばかりも言えない。主観というもの、自分自身というもの、人間の心というものが基礎かと言うとそうでもないし、客観的な外界の世界が基礎かと言うと必ずしもそうも言えない。水は水によって水そのものとして存在するのである。



          ―西嶋先生にある人が質問した―

質問
「身心一如」についてお伺いします。具体的には・・・。

先生
仏教では、心の問題と体の問題は一つのものと言う考え方があります。心がバラバラになっているということは体の状態もどっかでバラバラになっている。だから気持ちが落ち着かない時は、体そのものも落ち着かなくなっているということ。それは気持ちをあせらせて、「落ち着かなきゃ」といくら自分に言い聞かせても落ち着かないわけです。しかし体の形を変えていけば自然に落ち着く。だから坐禅の意味は、人間は「落ち着きたい、落ち着きたい」と思っても、どうしても落ち着かないというのが本質ですよ。体の形を変えて、ジ-ツと時間を保っておれば「落ち着け、落ち着け」と言わなくても落ち着いてきちゃうということですよ。これが仏教思想の基本。「身心一如」と言うのはこの事なんですよ。

普通は精神と肉体とを別々に分けて、「君、精神の問題だよ、根性の問題だよ」と言う様な事を言っているし、「そうかなあ」と思ってみんな信じているから、世の中がおかしくなってくる。これは事実ですよ。善悪なんて言ったって体の問題ですよ。酒を飲めばどんな悪いことでもするんだから、人間と言うのは。看板をひっくり返すぐらいわけのない話で。徳利を盗んでくるとかね。(笑)それどころじゃないんだから、人間のやることと言うのは。だからそれというのも、体はどうなってるか。酒を飲めば副交感神経が活発になってくるわけです。何でもやれる勇気が湧いてくるわけ。モリモリ途轍もない勇気が湧いてきてブレ-キがかからなくなって、何でもやるんですよ。だから酒を飲んだ時にやった事と言うのは、後になると実に後悔することが多い。「ああ、あんなことやらなきゃよかったなあ」とよく考えるんだけれども、飲んでいる時はそれがわからないで、「これが人生だ!」と思ってみんな勇気を持ってやるわけだから。そういう点では、体と心が一つのものだということは非常に大切な教えですよ。仏教の一つの基本でね。

質問
そうすると、坐禅は落ち着けるには一番いい方法だということ・・・。

先生
ええ、「只管打坐」と言われたわけですよね。だから仏教というのは非常に単純な教えでね。そういう点では、坐禅さえやっておればそれでおしまい、何にもないということでもある。


読んでいただきありがとうございます。


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プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
ご訪問、ありがとうございます。
夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」を受け、
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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仏向上事の巻に入りました。 仏(真実を得た人)とは、真実を得た後もさらにその事を意識せず日々向上の努力を続けている生きた人間の事である。そしてこのように真実を得た後も日々向上に努力して行く人のことを仏向上人と言い、その様な努力の事態を仏向上ノ事と言う。道元禅師が諸先輩の言葉を引用しながら説かれます。

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