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正法眼蔵 谿声山色 3

唐宋八大家( 中国・唐宋代の著名な詩文家)の一人に、蘇東坡と言う居士(僧侶ではなく在家で仏道修行をしている人)がいた。その蘇東坡居士の話が今日のところの題材になります。

大宋国において蘇東坡居士と呼ばれていた人は、通称は子瞻と言い、文筆界では巨匠の部類に属する人であった。しかも仏道の世界における龍とか象にも称えられる様な立派な師匠について仏道を学び、深い淵にも遊び、何重にも重なった雲の上にも行き来して、その自然を十分に味わった。ある時、蘇東坡居士は盧山と言う山のそばに行った時に、谷川の水がゴ-ゴ-と音をたてて夜通し流れている音を聞いたその時に、この世の真実と言うものを悟った。そこで、賛歎の詩をつくって常総禅師に呈上した偈(詩)に言う。

「谷川の水の響きはそのまま釈尊の説法として聞こえてくる。山の姿そのものが釈尊の体を見ているのと同じである。自然に包まれて、夜通したくさんのを仏賛歌を耳にする様な一夜を明かした。しかし、その夜が過ぎてから、谷川の音を聞き、山の姿を見て自分がこの世の真実を悟ったところのものは、それを言葉にして人に伝えようと思っても伝える事が出来ない」と。

この偈(詩)を常総禅師に差し上げたところが、常総禅師はその詩の意味が仏道の趣旨に適っていると肯定された。(常総禅師は黄龍慧南禅師の後継者である。またその黄龍慧南禅師は、慈明楚円禅師の後継者である)

この詩人である蘇東坡居士がある時、仏印禅師と対面した。仏印禅師は、この蘇東坡居士が仏道の参究において優れていると認めて袈裟を与え戒律を授けた。そこで蘇東坡居士は常にそのお袈裟をかけて仏道修行をした。そして蘇東坡居士は評価する事も困難なほどの高価な宝石をちりばめた帯を仏印禅師に贈呈した。この事に対して、当時の人々は普通の人々にはとても真似のできる事ではないと噂した。この様に蘇東坡居士は、長い間仏道修行をして非常に深いところに達していたのであるから、谷川の水の音を聞いて真実をつかんだというこの話は、後に仏道修行をする人にとって、潤いとなり、利益とならないことがあろうか。



          ―西嶋先生の話―
 
我々が旅行して景色の美しい所に行くと、実に素晴らしいと感じる。ただ人生に悲観をして、いよいよ死のうと覚悟を決めてそういう所に行った人は、決して自然は美しいなどと言って楽しんでいる訳にはいかない。悩みで頭がイッパイで、どこが死ぬのに一番楽かとウロウロしておれば、決して自然が美しいものには見えない。そうすると、自然が美しく見えるか見えないかは、本人の心のほうがどうか、体のほうがどうかと言う事と大いに関係があるわけです。


読んでいただきありがとうございます。


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幽村芳春

Author:幽村芳春
ご訪問、ありがとうございます。
夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事していた愚道和夫老師より
平成13年「授戒」を受け、
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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坐禅とは姿勢を正してきちんと坐ることである。 姿勢反射が働いて、交感神経と副交感神経とが同じになり、 考え過ぎからくる不満がなくなり、感じ過ぎからくる不安が消える。 実行力が生まれ、やりたいと思う事が直ぐできるようになり、 やりたくないと思う事はやめることが出来るようになる。 自分自身と宇宙とが一体となり最も幸福な人生を送ることが出来る。

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