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正法眼蔵 即心是仏 11

慧忠禅師の言葉について道元禅師の注釈は続きます。

過去における高僧も言われた。素晴らしい汚れのない明晰なとは何かと言えば、山であり川であり、大地であり、太陽であり、月であり、星である。我々を取り巻いている客観世界そのものが素晴らしい汚れのない明晰なである。はっきり知る事が出来る。とは何かと言えば、山であり、川であり、大地であり、太陽であり、月であり、星である。しかしながら、ここで述べられている事は、積極的に考えすぎると、かえって欠けた部分が出てくるし、消極的に尻込みしていれば、かえって余分なものが出てきてしまう。

山、川、大地と言うふうなと言うものは、、別に山、川、大地とかと言うものの他に何かがあると言う事ではない。山、川、大地そのものがである。それに対して、煙がある、波がある、風があると言うふうに人間の智慧で余分なものをつけ加える必要はない。太陽、月、星と言うものによって表現されるところのと言うものは、何かといえば、太陽、月、星そのものに他ならない。霧がかかった、霞がかかったと人間の頭の中で考えてくよくよする必要はない。日常生活によって表現されるとは何かと言えば、日常生活そのものである。迷いとか悟りとかと言うものは、人間の頭の中で作り出したものである。一所懸命生きていれば、迷いもない悟りもない。ただ、一所懸命の明け暮れがあるだけである。

土で出来た垣根や瓦や小石によって表現されるところのとは何かと言えば、垣根であり、土で出来た壁であり、瓦であり、小石である。それを分析的に、泥がどの部分で水がどの部分と分別して理解する必要はない。古代インドの人が考えた物質的な単位四大(風、地、水、火)や宇宙を組成している物質的なもの、精神的なものの一切、五蘊(色、受、想、行、識)と言うものによって表現されるとは、四大五蘊そのものに他ならない。迷いだとか悟りだとかが様々に動いて、とめどもないと言う事も全部人間の解釈である。我々の日常生活にそんなものはありはしない。



          ―西嶋先生の話―

善悪というものがあんまり先に立つと、本当のもの見えなくなるんですよ。ところが、世間ではそう考えていないんですよね。それは自分は善人だ思い込んでいる人がいる。そうすると、あいつはけしからん、こいつもけしからんといって人の非難ばかりしている人がある。そうかと思うと、俺はどうせ駄目だと思っている人もある。そうすると、俺は駄目だ、俺は駄目だ、どうせ駄目なんだから、このくらいは勘弁してもらえると言う考え方もあるわけです。
  
仏道はそういう考え方とは別なんですよね。善悪なんてそう簡単には割り切れない。とにかく一所懸命やるしかないと言う事です。そういう考え方になってくると思う。だから、今日仏教と言う考え方は割合めずらしい考え方ですよ。日本の社会では、なかなか見かけない考え方です。日本は仏教国だから、誰でも仏教はわかっているとみんな思っているけれども、仏教思想というものは今の日本の社会にはほとんどないです。「正法眼蔵」に書いてある思想、仏教思想というものについては、世間の考え方とはすぐ食い違っちゃう訳です。だから、どうもここはおかしい、あっちもおかしいと疑いたくなる。
 
「正法眼蔵」には善悪もなし、善悪を乗り越えるなんて言う事を言っているけど、いやそんな突拍子もない事を言っては困る。善悪があって我々は善をやって悪を排斥していくと言うのが本来の教えだと言う事にならざるを得ない訳ですよね。だけれども、釈尊が言われたのは、善といっても悪といっても、そう簡単に決め付けることは出来ないと言う考え方が基本にはあるわけです。現実というものは、もっと複雑なもっと味のあるものだと。頭の中で考えて、これがいい、これが悪いと言う様な事で簡単に色分けしても、問題の解決にはならんぞと言う事が仏教思想の基本にあるわけです。


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幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。68歳。自営業。愚道和夫老師が講義された道元禅師著「正法眼蔵」をブログで毎日更新し自宅で朝晩毎日坐禅をしています。師事した愚道和夫老師より平成13年「授戒」戒名 幽村芳春。平成20年「嗣書」授かる。    

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坐禅をしているという事は、足を組み、手を組み、背骨を伸ばして釈尊と同じ格好をして釈尊と同じ心境になっているという事でしかない。坐禅を中心にして、釈尊の思想が時代が変わり場所が変わっても、その場所、その時代に適応するような形でずっと伝わってきている。

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