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正法眼蔵 即心是仏 3

セニカ(先尼外道) の主張は続きます。

「我々の住んでいる世界には精神と言うものが満ち溢れているから、その中で偶々そういうものから外れたところの様々な現象と言うものがあったとしても、その精神的なものと密着した智慧が発現すると、物質とか客観世界が全部ないものと受け取られて、その霊妙な精神の働きだけが明々白々として厳然として存在している。

人間が仮に死んで、死体を焼き場で焼いて骨にしてみても、魂は生き残って肉体から抜け出るのである。例えば人家が出火で焼けた際、家に住んでいる人が撤去するようなものである。この様にたとえが死んでしまっても、肉体から魂が抜け出して悠々と生きていく魂と言われるものを、我々の精神、理性の本質と言う。

この魂と言われるものが、主観と客観との両方を含んでいて、迷いの道も悟りの道も全てわかる様に行き渡っている。この我々の住んでいる様々な世界はたとえどうであろうとも、魂と言われるものは客観世界とは別のものである。物質ともまた別のものである。長い期間にわたって常住である。少しも変わるところのない厳然とした存在である。そして我々が身の回りに見ている様々な世界も、我々が魂(心)持っていると言うところから生まれて来たものであるから、客観世界(物質の世界)もまた真実だと言う事ができる。ただし客観世界は魂(心)と違って永遠のものではない。なぜかというと、客観世界は生まれたり滅びたりするからである。

精神は明るいとか暗いとかとは関係なく、神秘的な直観力を具えているから物質とは違う。これを霊妙な智慧と言い、真の自己と言い、真理把握の根源と言い、本性と言い、本当の実体と言う。この様に、どんな事があっても滅びる事のない実在と言うもの、本質と言うものを理解して、それを知ると言う事が永遠の世界に戻ると言う事であり、この様な考え方を持った人を「真実に帰属した偉大な人」と言う。

このような考え方が開けてくると、生きたり死んだりと言う迷いの世界から抜け出して、生まれたり滅びたりする事のない本質の世界に入り込んで行くのである。これ以外の事は本当の教えではない。この様な本質的精神が発揮されていないところから、欲界・色界・無色界の三つの迷いの世界や、地獄・飢餓・畜生・阿修羅・人間・天上の六つの迷いの境涯が競い起こる」と説くのである。これこそが、セニカの世界観である、バラモン僧たちの考え方である。

三界六道
三界と言うのは欲界、色界、無色界。これは仏道で昔から言われておる三つの世界。欲界と言うのは意欲の世界。だから、ああしたい、こうしたいという世界。色界と言うのは、物質の世界、客観的な世界。無色界と言うのはそういう物質的な世界を乗り越えた世界。だいたいこういう三種類の世界が我々の死んでおる世界というふうに説かれておる。

六道と言うのは、地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天上。これも苦しみの世界(地獄)、不満を持った世界(餓鬼)、不満を満たしたいと思って一所懸命になる世界(畜生)、暴れ回る世界(阿修羅)、人間らしい世界(人間)、人間以上だと思い込む世界(天上)、そしてまた、人間以上のものだと思い込むと地獄に落ちる。

地獄の世界では、あれもしたい、これもしたい、と言うのがどうにもならなくて、苦しくてしょうがない。そこで地獄では、あれも得たい、これも得たいというふうに欲望を募らせるのが、それが餓鬼の世界。それから、どうしてもそれが欲しいと思って無茶苦茶にそれを得ようと努力するのが畜生の世界。それからその後暴れる世界、それが阿修羅の世界。それから暴れた後、少しばかり人間の心地がついてくるというのが人間の世界。少し落ち着いてくると、また自分は偉いというふうに思い違いをして天上界に上がってしまうから、またまた地獄に落ちざるを得ない。そういう人間が経めぐる六種類の世界が六道。

※道元禅師は「セニカの説かれている考え方は仏道ではない」と主張します。


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幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。67歳。自営業。
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師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」戒名は幽村芳春。
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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坐禅をしているという事は、足を組み、手を組み、背骨を伸ばして釈尊と同じ格好をして釈尊と同じ心境になっているという事でしかない。坐禅を中心にして、釈尊の思想が時代が変わり場所が変わっても、その場所、その時代に適応するような形でずっと伝わってきている。

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