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正法眼蔵 一顆明珠 4

玄沙師備禅師と弟子との問答について道元禅師の注釈は続きます。  

あの木・この木・あの草・この草という個々の事物だけが、我々の住んでいる世界の全てではない。 そうかと言ってもっと大まかに、この宇宙全体の自然と言うような事を頭の中で抽象的に考えてみても、宇宙そのものはつかまらない。 玄沙師備禅師が言われた「輝かしい珠」と言う表現が実に実感としてはぴったりくる。

「我々仏道を学ぶ者としては、どのように理解したらいいのしょうか」という弟子の質問は、過去における行動の影響から離脱し得ていないものの考え方を弄んでいるように見えたとしても、その切実な質問というものは、偉大な機能というものがすでに目の前に現れている状態である。これが仏道を勉強していく上においての偉大な原則そのものである。 そしてさらに具体的に、一尺の水が一尺の波をなしている、一尺の波は一尺の水に他ならない。つまり抽象的なとらえ方と具体的なとらえ方とが全く一体になったとらえ方というものがある。そういう現実的なとらえ方を具体的に表す事であり、差し渡しが一丈もあるような大きな珠には、差し渡しが一丈もあるような大きな珠に伴うところの輝きがある。中身と外側とは同じ一つのものだ。

そしてこの真理を表現するに当たり、玄沙師備禅師は「全宇宙は一粒の輝かしい珠である。理解しようとして何の役に立つか」と言われたのである。この言葉こそは、仏(真実を体得した人)から仏(真実を体得した人)に伝えられ、仏教教団の指導者から仏教教団の指導者へと継承され、玄沙師備禅師が宇宙の真実をつかみ独立独歩の答えをされ、玄沙師備禅師に伝えるところの言葉である。この様に、玄沙師備禅師の言葉を継承するということが行われてきたわけであるけれども、この伝授を受けまいと考えるならば、そういう場面がないわけではないが、仮に夢中になって逃れようとして見ても、たまたま何らかの機縁で人生問題と真剣に取り組む場合がある。真剣に取り組む場合とはどういう時かと言えば、現在の瞬間において「さあ、どうしたらいいか」と言う、真剣そののもの瞬間に他ならない。
                       つづく--



          ―西嶋先生にある人が質問した―

質問
言うならば世渡りの場合も、最初から旗印をはっきり出した方がいいと。

先生
いや、旗印をはっきりするということがどういうことか、ということが一つの問題ですが、世間に対してあまり目立つような生き方というものは、むしろ仏道から遠ざかる恐れがある。つまり、人から見ればごく自然で、どこが偉いんだか、どこがだめなのだか、よくわからんような生き方でありながら、やるべきことをキチッとやっていくというのが仏道。だからその点では、人からあんまり目立つということが仏道では決してないということになろうかと思う。

だからその点では、この前の坐禅会の時にも、「抜群無益」群を抜いて益なしと言う言葉があったわけですけれども、本当のことがわかってきて、自分自身がそのものと一体になったとすれば、人から見ればあまり目立たない動き、あまり目立たない存在になる、そういうことだろうと思います。

質問
うちの家内がわけの分からんような屁理屈をいう。はっきりしないわけなんですね。

先生 
いや、そういうことではなしに、自分がしっかりして、それが正しいものと一体になっておればあまり目立たないもんですよ、逆に。自分は非常にしっかりしているんだけれども、ただ傍から際立って目立たない。だから今日の時代と言うのは、だいたい目立うと言う精神、おかしなことをやって人の評判をとろうという動きが多いわけですけれども、そういう事と仏道とはあまり関係がない。むしろ目立たんように、目立たんようにこっそりやるというのが仏道ということになろうかと思う。


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プロフィール

幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」戒名は幽村芳春。
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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行持の巻に入りました。この言葉は「いまといふ道は、行持より先にあらず、行持現成するを、いまといふ」と示されているところから見ると、保持、持続という事の意味が、時間的継続と関係の薄いところは明らかであり、むしろ持とは宇宙秩序の保時、戒律の保持という意味が強いと解される。そこで行持とは梵行持戒、すなわち正常な行為と戒律の保持を省略した言葉と解される。

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