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正法眼蔵 摩訶波羅般若密 6

「摩訶般若波羅蜜」の巻は続きます。

また一つの正しい智慧がある。現に今、現実のものとなっている。それは何かというと、阿耨多羅三藐三菩提(釈尊の説かれた最高にして均衡のとれた正しい真実)である。
西嶋先生の解説
我々が坐禅をやっておれば、阿耨多羅三藐三菩提が現実のものとして、現に存在しておる。

また三つの正しい智慧がある。それは何かというと、過去・現在・未来である。
西嶋先生解説
仏教思想と言うものは、非常に哲学的な面がある。だから、時間と言うものも、過去・現在・未来と言う三種類に分けて、繰り返し、繰り返し考える。過去・現在・未来と言う時間の捉え方も、仏教思想の中では基本的な考え方。だからこれも正しい智慧としてここで挙げられている。

また六つの正しい智慧がある。それは何かというと、地・水・火・風・空・識である。
西嶋先生の解説
古代インドでは、この我々が生きている世界を物質的に捉えると、地・水・火・風の四つのものによってつかまえることが出来ると考えられていた。は、今日の言葉でいえば固体ということ。物質の中でも、固くて我々が触って分かるもの、それが個体。は、液体。水や油の様に流れておって形がどうにでも変化するもの。は、今日では酸化現象であるわけです。だから科学的な変化ということ。この火というものを、古代インド人は一つの物質の形と考えていた。は、風。つまり空気の様に流動しているもの。したがって今日の言葉でいえば気体。は、空間ということで、地・水・火・風と言うものの入れ物。は、それらを捉え得る心ということ。だから、地・水・火・風・空・識と言う六つのもので、この我々の住んでいる世界を表現するという考え方である。

また四つの正しい智慧がある。それは何かというと、行・住、坐・臥である。
西嶋先生の解説
我々の日常の行動を形の上で分類すると、この四つに納まるわけ。動いている時、止まっている時、坐っている時、寝ている時。これもまた仏教において説かれている正しい智慧であると。



          ―西嶋先生の話―

道元禅師が中国から帰国した時「自分は柔軟心を持って帰って来た」と言われたことの意味は非常に大きい。我々の人生というものが抱えている様々な問題のすべての解決として「柔軟心」があるのではないかと、そう言う事を考えざるを得ないと言う問題があるわけです。柔軟心という事は、今日の我々の日常生活においても中々大切な事です。柔軟心とは何かといえば「こだわりのない心」という事である。

我々は普通、色々な原則を信じ込んで、その原則に従って生きるという事をやるわけです。しかし原則にも、正しい原則もあれば間違った原則もある。間違った原則を一所懸命「これが大事だ!」と押し通そうとすると、あっちこっちでぶつかって、原則そのものが人間に災いを及ばすと言う問題も間々あるわけです。それから原則というものが、いつでも通用するとは限らない。上り坂の時に通用する原則が、下り坂の時に通用するかと言うと中々そうはいかない。上り坂の原則を、下り坂の時に無理して使おうとすると、かえってその原則を使った事がはるかに大きなマイナスをもたらす、と言う心配もあるわけです。ですから原則を信じ込んでこだわると言う事、これも大いに警戒しなければならない問題を含んでおるわけです。

それからまた、我々には執着というものがある。過去において経験したものに固執すると言う考え方、習慣があるわけです。そういう過去に対するこだわりがないと言う事も、また柔軟心という意味であろうかと思うわけです。そういう点では、我々の仕事というものに関連して考えてみましても、何か新しい改革をしなければならないと言う話が起きた場合に、比較的弾力的な気持を持っておりますと、どう対処するかと言う態度が割合楽に取れるという問題があるわけです。ところが原則にこだわるとか、あるいは過去の経験にこだわると言う様な事がありますと、仕事のやり方一つにしても、それを変えていくと言う事について途轍もない抵抗があるわけです。個人自身に抵抗があると同時に、人々が集ってつくっている組織という中でも、非常に大きな抵抗というものがあるわけです。

企業の競争とは何かと考えてみますと、一つは仕事のやり方の競争だと思う。同じ仕事をやる場合、どういう仕事のやり方をしたら経費が少なくて、沢山の収益が上がるかと言う仕事のやり方の競争が企業の競争だと思います。ですから優秀な企業になるためには、仕事のやり方を絶えず考えて、時代に遅れない様に、毎日のように改善していかなければならないという問題があるわけです。その事さえやっておれば、企業と言うものは永遠に発展する。ただ、過去の経験にこだわって同じ様なやり方で毎日を送り、その事が原因になって仕事のやり方が時代遅れになってしまうと、企業としては非常に危険な状態に追いやられる恐れがあるという問題があろうかと思います。そういう事を考えてきますと、企業の中にいる人々も柔らかい気持を持っている事が大切だと思います。周囲の状況が変わってきた、やり方を変えなければと言う場合に、誰もが気持ちを一つにして新しいやり方に取り組んでいく態度が企業が発展していくためには、どうしても必要だという問題があろうかと思います。


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幽村芳春

Author:幽村芳春
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夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事していた愚道和夫老師より
平成13年「授戒」を受け、
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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坐禅とは姿勢を正してきちんと坐ることである。 姿勢反射が働いて、交感神経と副交感神経とが同じになり、 考え過ぎからくる不満がなくなり、感じ過ぎからくる不安が消える。 実行力が生まれ、やりたいと思う事が直ぐできるようになり、 やりたくないと思う事はやめることが出来るようになる。 自分自身と宇宙とが一体となり最も幸福な人生を送ることが出来る。

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