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正法眼蔵 弁道話 8

道元禅師の弁道話は続きます。

宇宙の中に住んでいるところの「三途六道の群類」も、坐禅をするならば、坐禅を始めた瞬間から体も心も明瞭清浄となる。そして様々の煩いから抜け出たところの境地を体験し、本来の面目が現れる時、周りのあらゆる実在と言うものがみな真実を現して、宇宙全体が釈尊と同じ様な状態になる。そういう状態になると、真実だとか悟りだとかと言うものを一気に乗り越えて、菩提樹の下で悟りを開かれた釈尊と同じようにきちんと坐って、最高の均衡した状態において、自分の体で釈尊と同じ説法をしている。つまり、坐禅をしている姿は自分では見ることが出来ないけれども、人が坐禅をしている姿を見るとはっと打たれるものがある。それは坐禅の姿と言うものが、釈尊と同じ性格を具えているからである。そして、坐禅をした時に初めてきわめて常識的な、きわめて平凡な、しかも一番現実的な智慧と言うものが生まれて来るのである。

「三途六道の群類」について西嶋先生の解説。
三途と言うのは、地獄、餓鬼、畜生と言うふうな形で、人間が人間であればそのままで何の問題もないんだけれども、人間はえてして苦しみの世界へ入り込んでしまう。地獄の境涯。何とかしてその中から抜け出そうと思って無理をする。餓鬼の境涯。人の事なんかどうでも構わんと。何としてでも自分がやりたい事をやるんだと言う畜生の境涯。これも人間が簡単に入っていける境涯であります。それから六道と言うのは、その地獄、餓鬼、畜生と言う三つの境涯の他に、阿修羅、人間、天上と言う境涯と言うものを加えた。だから六道と言うものも、人間がこの現実の世界の中で経過していく色んな境涯のことを言っているわけであります。地獄の境涯。あれがしたい、これがしたいと言って希望を持つんだけれども、中々実現しない境涯。その自分の希望と言うのをどうしても得たいというのが、餓鬼の境涯。それから何としてでも自分の希望を達成したいということで、やって悪いことまで無理してやるというのが、畜生の境涯。それからその後で暴れまくるのが阿修羅の境涯。それから暴れまわった後、やっと少し人心地がついて落ち着くのが、人間の境涯。多少落ち着くと、俺は神様ではなかろうかというふうに自惚れてしまうから、天上の境涯。そして天上の境涯で、俺は神様だというふうに思い違いすると、あれもやれない、これもやれないということでまた地獄に落っこちるというふうな事で。六つの境涯を次から次へと経めぐって人間と言うものは生きていくのが現実の我々の姿。こういう様々な境涯に普段はあるわけ。これは他人ごとではないんです。我々自身がそういう境涯を出たり入ったりして苦しんでおるわけであります。

本来の面目について西嶋先生の解説。
坐禅によって得られるのは本来の面目。我々は普通は、坐禅をしていない時が本来で、坐禅をしたときはちょっと偉くなったと思っている。そうじゃない。坐禅をした時が我々の普通の状態。だから坐禅をするということは本来の姿に返るということ。なぜそうかと言うと、坐禅をした時が一番気持ちがいい。人の事に恨みを持って「あの野郎、この野郎」と言って一所懸命恨んで、「あいつを何とかして殴ってやろう、引きずりおろしてやろう」というふうに考えておる時は、自分自身不幸なんです。あるいは「あれが欲しい、これが欲しい」というふうな事で欲望があって、それがどうしても得られないと「何とかしてほしい、泥棒してでも欲しい」と言うふうな時は、本人自身が不幸な状態なんです。そういうものからスッと離れて、足を組み、手を組み、背骨を伸ばしてジ-ツとしている時と言うのが、一番幸せな時。それが本来の人間の状態。だから本来の状態に返りたいと思ったら、フッと思い直して坐禅をすればいい。だから坐禅と言うのは、本来の面目を現すためである。

※私の独り言。
人間の境涯で毎日暮らせたらいいのに、なかなか難しい。


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幽村芳春

Author:幽村芳春
ご訪問、ありがとうございます。
夫と二人暮らし。67歳。自営業。
自宅で毎日(朝・晩)坐禅をしています。
師事した愚道和夫老師より
平成13年「授戒」を受け、
平成20年「嗣書」を授かりました。    

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恁麼(いんも)の巻に入りました。 恁麼とは、宋の時代の俗語で「あの」とか「あれ」という意味を表わす指示代名詞であり、用例によっては「なに」というような」疑問の意味を表わす場合もある。言葉で具体的に表現することの困難な何物かを指すところから、仏教が追い求めるところの心理を言い難き何物かという意味で、この恁麼という言葉で表現した。 コメントお待ちしています。

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